【たまには猫のオモテナシ】

 何でこないなことになったんかウチにもよう分からん。写真部の部室にひとり、なーんもせんと座っとる。頭の上に慣れんもん置いとるせいでやけに違和感がある。ホンマ自分何しとんねやろ。あきらのヤツを恨んでみるけどもう遅いわ。待つしかあらへん思うて、ぼんやりイスにもたれとる。

 大体みんなで買うたプレゼントなんやから、みんなで渡すんが筋と違うんか。そら確かにメッセージカードは七人分入っとって、気持ちも七人分入っとる。でもウチがひとりで渡したら、なんやウチだけ特別になってまう気ぃする。みんなそれでええんかなぁって今も疑問や。その割に誰も反対せんかったんが謎っちゃ謎やな。特にあきらとか超ニヤけとったし。

 アカン、思い出したら無性に腹立ってきた。本命のプレゼントとは別やが、わざわざ自腹切ってこないくだらんモン買うなや。「茜はネコなんだしぴったりっしょ! いっちゃん喜ぶよ」ってなんでやねん。猫畜生とちゃうわ。ばっちり人間やわ。海老塚さんと迫谷さんが苦笑いしとったのは、あきらが意味不明なこと言っとったからに間違いないな。あのハゲはしょーもないことばっか言いよるで、ったく。ああイラついてきた。いっそこれ取ったろかな。保崎さんに見られたら馬鹿にされるに決まっとるしな。アイツから舐められるのはアカン。ウチのコケンに関わる。そうや、取ったろ取ったろ。ウチみたいなカッコええ女にはこんなん似合わんで。

 そんな具合に手ぇかけたところで、ドアが開きよった。ウチは固まるしかない。これは手遅れちゃうやろか。こそっとドアに目を向けたら、メガネ女がガン見しとった。ヤバイヤバイヤバイ。

「……ちゃうねん」

 とりあえず笑うてみる。保崎さんは相変わらずこっち見とる。無表情なんが逆に怖いわ。ほれ、さっさ爆笑しぃ。屈辱やけど誕生日くらいは大目に見たるさかい、笑え言うねんダアホ。ウチのツッコミなんぞ全然知らん風に、保崎さんは入ってきた。ドアを後ろ手で閉める。そんままウチに近づいて――抱き締めよった。

「いっ! いきなりなにすんのや!」

「かわいー。猫つっちゃんだー」

 ウチの顔は保崎さんの胸に収まって、後ろ頭は撫でくられる。保崎さんはウチの髪を撫でつけながら『かわいい』を連発する。これが保崎一花のジョートー手段。思ってもないクセにかわええかわええ言う。そんなんでウチが喜ぶと思ったら大間違いや。安い女と違いますわ。ウチがいま黙って撫でられとるのは、カンヨーな精神ちうヤツやな。まぁ誕生日やしな。誕生日やったらこんくらいは許したってもええな。ん……保崎さん、なんやええ匂いする……。

「これどうしたの? ネコミミに、あ、シッポも付いてる」

「保崎さんが喜ぶって、あきらが買うてきたんや。しっかしウチやなくてもええのにな。十中八九してくれへんと思うけど、凛ちゃんの方が似合うやろ」

 ウチよか凛ちゃんのが猫っぽいことは、多分誰も否定せん。保崎さんも同意するはずやって考えとったのに、予想は裏切られた。

「つっちゃんの方がいい」

「はっ、なんやそれ。そないなお世辞言うてもしゃーないで」

 鼻で笑い飛ばしたウチのあごを、保崎さんが支えた。上を向かされ、見下ろしとる保崎さんと目が合った。妙に真面目な瞳は少し濡れて光る。

「つっちゃんがいいの」

「っ」

 恥ずい。まるでカッコの話やなくてどっちのことが好きか言うてるみたいやんか。保崎さんはまったく目ぇ逸らさんで見つめとる。たまらんなって横向いた。まだ見られとる気がする。もうええんちゃうやろか。さっさプレゼント渡して帰るべきなんちゃう? 自問自答しとる間に保崎さんがイスへ腰掛けた。横顔がむっちゃ視線浴びとる。やって、頬がかたっぽだけ熱い。

「あんな、保崎――ふぁんっ」

 よそ向きっぱなしやったから不意打ちもろた。ウチのこと、からかうみたいなキスをされる。保崎さんの唇の形に頬が焼ける。アカン。この流れはダメや。ウチは真正面に向き直る。文句のひとつも言うたらなならん。

「ほさきさん……アカン……」

 顔が近すぎてしゃべり辛い。それにノドをこしょぐられとるせいでますますつっかえつっかえになる。保崎さん、いつものニコニコ顔とちゃう、なんやウチに見惚れるよな表情浮かべとる。ア、アカンぞ茜! アンタは出来る女や! ノーと思ったらノーと言える日本人なんや! ガツンと言ったれ!

「今、そういう気分とちゃう、し」

 応援しとるウチと対照的に、実際のウチは声ちっちゃい。しゃーないねん。保崎さんが目と鼻の先で、じぃっと見るから悪いんや。言いたいことが言えんなる。睨まれとるわけでもないのに、変なドキドキが生まれる。

 保崎さんはウチの背中に手を回した。それで体がぴったりくっつく。顔同士が思いっきり近なる。メガネの向こうの目が、なんの毒気もなしに語りかけてくる。調子狂う。戸惑うウチは具体的な質問を投げかけられた。

「だめ?」

「うぅ」

 答えられんかった唇が、保崎さんのそれと合わさった。またなし崩しになる。保崎さんはズルい。サイテーや。ウチが拒めんの知っとってわざとやっとるに決まっとる。ウチが悪いんと違う。保崎さんが悪いねん。やって保崎さんがいっぱいしてくるから、ウチ、誰にも言えへん遊び覚えてしもた。保崎さんにされたこと思い出しながら、嫌いやったはずのやらしいこと、自分でするようになった。全部保崎さんのせいや。ホンマはイヤやねん。こういうの嫌いや。嫌い……。

「んっ! ぁ、ひあ……」

 半開きになった口へ、保崎さんの舌が入ってきた。ウチのに伸びて舐めくすぐる。口を閉じることも出来へんで、あちこち保崎さんに探られた。止められん声がだだ漏れになる。肩も手も震えて、首の後ろがぞわぞわする。一番掴みやすかった保崎さんの背中を捕まえたら、もうそこから手が放せんなった。ぎゅっとしがみつく。ウチと保崎さんの境目がよう分からんなって、胸が痛いぐらい苦しなる。

「やっぱりイヤ?」

 ウチの舌を解放した保崎さんが訊ねた。でも答えさせる気があるんかないんかはっきりせん。舌とバトンタッチした指が、ウチの舌先で円を描く。ウチは指を噛まんようにするのがせいぜいで、円が大きくなるのを受け入れ続ける。この指がいつもみたいに、ウチのアソコ触るんかな。そういうこと思い始めると、お腹の奥がちくっと疼いた。

 気が付いたら口の中の指をしゃぶっとった。誕生日やもん、ウチからしたってもええよね。目ぇ瞑ったまんまで保崎さんのカタチをなぞる。いつの間にか保崎さんは動かんなっとって、ウチの好き勝手に舐めることが出来た。保崎さんの指は細くて、爪も綺麗に切り揃えられとる。保崎さんの指、好き。爪の付け根とか関節とか、継ぎ目を舌でなぞっとるうちに、ウチのやない声が聞こえた。

「つっちゃん、ほんとに、んんっ、猫みたいだね」

 なんやからかいよって。睨みつけよう思って顔見たら、保崎さんは真っ赤になっとった。ついニヤけてまう。あーそういうことですか。保崎さんなんて、飼い猫に手ぇ噛まれてしまえばええんや。ウチは上目遣いしつつ、人差し指を横から咥えた。そんで軽く歯ぁ立てる。

「あっ」

 保崎さんの顔がほんの少し歪む。ただ痛いだけと違う、フクザツな表情を見せる。段々楽しなってきた。

「保崎さんのここ、いっつもウチを苛めるから――お仕置きしたるわ」

「えー、苛めてなんかなっ、いよ。つっちゃんのこと、い、たぁっ。ね、ねえ。噛まれるのはちょっと苦手だな。もっと、くぅ……きもち、こと、しよ?」

「ええよ」

 隣の指に移る。ウチの唇が中指へ口付けると、保崎さんの手は小さく反応した。唇で柔らかく挟み込んで輪郭に沿う。時々ついばんで引っ張る。何回か繰り返すと、保崎さんは手のひらをグーにして逃げた。そんなん許さへん。

「気持ちええことするんちゃうの?」

「うん、そうだけど……」

「なら手ぇ開き。それとも全然ようないか?」

 返答はゆるいパーの形で返ってきた。ウチはその手首を掴んで表にする。保崎さんの顔と手のひらを交互に見たあと、生命線を一息で舐め上げた。指が曲がりかけ、ギリギリ留まる。ウチの舌が線を引くたんびに手が閉じようとする。

「ちゃんと開いてくれな出来へんやん」

「でも我慢するのが大変で」

「へー。そんなにええのんや」

 保崎さんが言い返さんもんやから、手はどんどんツバまみれになる。小指を食べたり、手首にキスしたり、手の甲を吸ってみたり、保崎さんの手をオモチャ扱いした。中指と薬指の股を舐めてる最中に、とうとうウチの仕事は中断される。保崎さんが手を仰け反らせたせいやった。ほとんど舐め終わったとは言うても途中やし、ハイオシマイデスちゅーわけにもいかん。それならそれで、他のトコ使わせてもらわんとね。

「まだ終わってへんのに邪魔した。保崎さんはいっつも邪魔ばっかりや」

「ご、ごめんね。お詫びにあたしがするから」

「せんでええ。ちゃうな、したら許さん。保崎さんからウチに触ったら、もうエッチなこと絶対させたげん」

 強気に言い放ったのは効果バツグンやったみたいで、珍しく保崎さんが困っとる。ウチかてされっぱなしの女とちゃう。今日こそウチがしたるんや。意気込みとともに、鞄からタオルを取り出した。用途を訊ねる暇なんてあげん。保崎さんのメガネを奪い去って、代わりにそれを巻きつけた。頭の後ろで固結びすると、なんも見えん目がいっそう見えんようになった。ウチは保崎さんの膝を跨いで、耳に唇を寄せる。

「保崎さんはこっちの方が苦手なんよね。手は自分で組んどき。ウチがええって言うまでそのまんま。ええな?」

「いま言ったよ――」

 得意の軽口もさせたげん。保崎さんの頭を抱えて余計な口を塞いだ。さっきのおさらいをしたなる。舌を唇へ這わせたら、案外簡単に考えが伝わった。開いた入り口から進んで、最初に歯。他人の歯でも感触はそんな違わん。自分の口の中とちゃうぶん、位置的に不思議な感じはせんでもない。すぐに飽きてその内側へと滑った。保崎さんの空洞に寝とる、やらかい部分。さっきまでウチのこと散々弄くっとったクセに、いざ弄くられる側になるとエラい大人しい。

 舌は歯よりも楽しくて、舐めてるとなんややらしい気持ちになる。舌がこないな風に使えるってウチに教えたセンセは、忠告が堪えたのか舐め返してもこん。調子に乗ったウチは……口に溜まったもんを保崎さんのナカに流し込んだ。あきらがこういうキスもあるって言うとったけど、ホンマやろか。ウチの心配はムダやった。保崎さんの喉がこくん、と鳴る。

 ウチのツバ、飲まれた。アカン、むっちゃ恥ずい。顔が熱なって思わず口元を抑える。目隠しさせとってよかった。こんな顔見せられへん。保崎さんは深い溜め息を吐く。花びらみたいなこの唇に、ウチ、自分のツバ口移ししたんや。落ち着け落ち着け。保崎さんのがビビっとるに決まっとん。ウチのテクニックで、めろめろにしたるんや。

 首筋に口をつける。肌を軽く掃いてゆっくり降りていく。胸の傍で横に逸れると、保崎さんの肩が僅かに跳ねた。期待されている場所を人差し指でくすぐる。また肩は揺れた。

「サコツ好きやもんね。前と同じにたくさん舐めたろっかなー。ん、どしたん? 唇噛むくらいイヤっちゅーこと? 安心し。今日はもっと恥ずかしくなるトコ舐めるつもりやもん」

 言い終えて即後悔する。恥ずかしくなるトコってドコですか。耳? ウチは耳舐められたらむっちゃ気持ちええけど、それもなんや芸が足らんし恥ずかしないし。足? アカン、下僕っぽいわ。胸? 赤ん坊とちゃうで。手? はさっき舐めたやろ。ってなるとアソコ? 舐めたりせんわなぁ。でも流石の保崎さんやってアソコ舐められるんは恥ずかしいやろ。よう考えたら保崎さんの、一回も見たことないし……見てから決めるのもありちゃうかな。ウチは余計なイスをどけて床に膝立ちした。スカートを捲くりかけて気づく。あるやん、恥ずかしいトコ。そっと制服をずらしたら、ソコが露になった。保崎さんのおへそ。綺麗に掃除されとるっぽいから舐めても大丈夫やろ思て、せやけどどうしよっか悩む。

「つっちゃん……? あの、お腹冷えちゃうなーなんて」

 保崎さんが身を揺する。ついでに声まで揺れとった。試しに息を吹きかけてみる。ぴくっとお腹が引っ込んだ。

「触ったり舐めたりしたら、冷えんよね?」

「ええっと、冗談でしょ? ダメだよ。や、やめよう? やめ――あんっ!」

 唇が肌へ押し当てられた瞬間、保崎さんの体が前かがみになった。ウチは構わずお腹にキスする。保崎さんのお腹はぺったんこなのにやわっこい。頬ずりしたら気持ちええやろなーって感じて、早速やってみた。アカン、こんな枕欲しい。むっちゃ肌触りがええ。

「つっちゃんのほっぺ、熱い。冷えないけど、ちょっと恥ずかしいよ……」

「恥ずかしい? こゆことしたら、もっと恥ずいかなっと」

「ぅんっ。な、に? 筆……つっちゃんの、髪? はんっ」

 推測どおり束ねた髪の毛先を使って、保崎さんのお腹をくすぐった。肝心のおへそをなぞり上げると、鼻がかった声が漏れる。それがおもろくてじっくり弄り倒す。こそばいだけかと思っとったけど、声の雰囲気はなんややらしい。もっとそないな声が聞きたくて、ウチは保崎さんのおへそに吸い付いた。

「はぁ、っく……なんで、おへそなんて……汚いのにぃ……ふあ、舌ぁ」

 小さな穴を舌先で突っつく。汚い言う割に大して味もせえへん。舌を詰め込んでのたくらせる。保崎さんが腰を引くもんやから、抱き寄せて逃げられんよにしたった。保崎さん、体を傾かせて耐えとる。まだ腕を後ろで組んどるのが意地らし思えた。頑張っとるから――ウチもサービスしとこかな。手をスカートへ潜らせる。保崎さんの股の間、中指で優しく掻いたった。

「なー保崎さん。ココ舐めたら気持ちええと思うねんけど、どうやろ」

「そう、かなぁ。あたしは別に……あぅう」

 きっとタオルに隠れた眉毛は下がっとる。そんでショーツに隠れた大事な場所は、保崎さんの本音で濡れとる。指を食い込ませたらクチッという、保崎さんらしない音が鳴った。

「おへそ、髪と舌やったらどっちがえかった?」

「……舌」

「せやったら、ココも舌の方が気持ちええんとちゃいますかね。もったいないなぁ。したっても構へんのになぁ」

「でもね、でも……やっ、そこ」

 ショーツを往復しとるうちに、爪が出っ張りを引っ掻いた。保崎さんがいっつも触ってくるトコ。ウチが変な気分になるトコ。指先で押し潰した途端、エラいおっきな声が部室に響いた。

「ま、ええわ。保崎さんが嫌がるから余計したなった。邪魔せんときぃよ」

 念押ししたあと、ウチは両手でショーツの際を掴んだ。保崎さんは素直に腰を上げる。おかげで下着はたやすく膝を通り、かたっぽずつ足を抜いてまうと、完全にウチの手の中へ収まった。薄水色の布を少しだけ見る。ちょうどソコが当たる部分は、外側から分かるくらい湿っとった。それに温度がまだ残っとって、なんや無性に気恥かしなる。イスの上に放っておいた。

 保崎さんの太ももは、互い互いにお見合いしとる。合わせ目に指を添えて分かれさせようとしてみた。ウチの意図が伝わったのか、ちょっとずつ足が開いてく。ある程度間隔が出来たとき、体ごと割り込ませて閉じれんようにしたった。恐る恐るスカートに手ぇかける。捲り返して、保崎さんのソコを晒させた。

 自分のかてちゃんと見たことないけど、保崎さんのはウチのとだいぶ違う気がした。薄い毛が控えめに生えとって、ぴらっとしたトコがなんかの花みたいに咲いとる。ポッチのトコはウチより大きめで、固くなったピンクの頭がこんにちはしとった。なんや思ったよりかいらしい。零れとる雫もウチが出させたんやって考えたら、言葉にならん嬉しさが込み上げた。

「かわいくなくて、ごめんね」

「なん言うとんの。こんなん、かわええに決まっとるわ」

 もっとチュウチョするかなって思てたのに、すんなり唇を落として、ウチはチョウチョになった。蜜――は別に美味しいもんと違うな。マズくもないっちゅーか、そもそも味うっすい。あー、保崎さんっぽい味やなぁ。そういう印象やった。イヤな味やない。

「つっちゃんの舌、エッチ……」

「とろとろしたの溢れさせとる、アンタの方がやらしいで。ウチの舌で感じとんの?」

 気持ちええことを『感じる』とか言うらしいから、ウチも使こてみた。なんでそういう言い回しなんかはさっぱり分からん。でも、ウチの存在感じてもろてる風で、悪ない。

「うん。つっちゃんで感じてるよ。ソコが溶けちゃいそう」

 答える保崎さんの声もとろけとる。アカン。ウチはしとるだけやのに、舌も耳もたまらんなる。保崎さんがウチにしたがる理由、コレなんかな。したげるのもむっちゃ感じる。

 ウチ今どんな顔しとるんやろ。保崎さん今どんな顔しとるんやろ。お互い確認出来へんこの状況は、なんかイヤやった。やからいったん立ち上がって、保崎さんの目隠しを外す。見返す瞳が色っぽすぎてくらくらする。急いでメガネかけさせた。あんまり効果がなくて、セクシーな保崎さんのまんまやった。

「ダ、ダメやからなっ! ウチにさせんとホンマにキレるで!? っ、そんな目で見たって知らん! 知らんけど……まぁ、見とくくらいは許したるわ」

 それすら、許してええんかは結構な問題やった。保崎さんのこんな表情見せられたら、心臓がうるさくて敵わん。ウチがひざまずいて腰に手を回すトコ、保崎さんはずっと見っぱなし。ウチも目ぇ逸らせんで、見上げたポーズのキスになった。保崎さんの大事なトコとウチの唇、しっかり結ばった。

「これ、恥ずかし、ね」

「ウチも恥ずかしいから言わんとけ! 黙って……感じとけばええねん」

 真っ赤な顔の保崎さんと同じくらい、ウチも赤くなってるんやろな。顔から火ぃ出てもおかしない。気ぃ紛らすために一生懸命舌を動かす。保崎さんのソコは舌以上にやらかい。てっぺんはあべこべに固くなっとって、舌の上で自己主張しとった。唇に閉じ込める。ストローでジュースの残りを飲む、あのイメージできつく吸ったら、保崎さんの手が止めようとした。声に出さんで首をぶんぶん振る。ウチも声は出さん。保崎さんの右手とウチの左手、保崎さんの左手とウチの右手を重ねて、指を組み合う。そうしてまた吸い上げた。保崎さんがきゅっと目を瞑る。腰が切なそうにもがく。こんな辛そうな、幸せそうな保崎さんを見れるんは、ウチだけ。ウチが独り占めしたい。誰にも渡したない。そんで、ウチも保崎さんのもんになりたい。

「目開けんと、続きしたらんよ。ウチのことも見んとアカン」

 舌を会話に回す。保崎さんは抗うでもなくて、静かに瞼を上げた。溜まった涙が頬を伝ってく様子が綺麗やって、正直見入ってしもた。

「おねがい、つづき……」

 手ぇ握った指が、もどかしそうに力をこめる。寸止めみたいなことウチがやれるワケもない。かと言って最後まで行かせたげられるかも怪しい。そこは初心者やけど頑張ることに決めた。

 あごと舌が疲れるくらい、時間かけて愛した。わかったのは、どうもおしっこするトコが気持ちええらしいことやった。保崎さんのちっちゃい出口と、とんがったお豆さん。そのふたつを交互にかわいがる。なんや噛んだりした方がええんかなって思うが、壊しそうで怖かった。ずーっと優しくしたげたかったし、それで間違いなかった。

「イきそ……あ、ぁ」

 緩やかに、消えてしまうみたいに保崎さんは告げた。また涙が流れる。ひと段落したはずなのに、ウチも保崎さんも、手つなぎをしばらく止められんかった。

 ■ ■ ■

「自分の誕生日忘れとるとか、アホやろ」

「わ、つっちゃんひどーい」

「酷ないわボケェ! あー! なんや損した気ぃしてならん!」

 思わず頭抱えた。このアホメガネ、プレゼント渡すまで全然気がついとらんかったらしい。まるでウチが望んで、その、アレしたったように見えるやんけ。ちゃうわ! 誕生日お祝いの大盤振る舞いや! そんなんなかったら、誰が保崎一花の……なんぞ舐めるかい! アホ! ドアホ! アホの特売日やでホンマ!

「そっかー。じゃあ、得なことする?」

「ハァ? いまさらどこに得がある言うねん」

 ジト目で保崎さんを睨む。笑顔いっぱいの保崎さん、その隣には銀色の目覚まし時計と、七人分のメッセージカードが置かれとった。中学生かて七人集まればそれなりのもんは買える。値段相応にしっかりした時計で、好きな音楽をアラームにしたり、声を録音したりも出来る。ウチの怒声でも入れたろかなって一瞬思ったけど、毎朝ウチの声で起きられたりしたら恥ずいからやっぱアカンな。アカンアカン。保崎さんはざっと説明書に目を通したっぽく、折り畳んでカードの横に添える。自身はウチに体を添える。手がウチの体を包み込む。

「あのね、この時計は録音機能が付いてるみたいなの」

「知っとるわ。で、この手は何ですか言うねん」

「つっちゃんの声が録りたいな。エッチな感じの」

「――っ!? 誰が録らすか! さ、さっさ放しぃ」

 このメガネ、どんだけ発情期やねん! させんぞ! そんな、首の後ろ撫でられたからって、屈するウチと違うんや。あっ! 耳はアカン! 撫でんとけ! 息、とか、やめぇ……。

「いいでしょ? だって、折角誕生日なんだもん。記念が欲しいなー。それに、この猫さんのこと、まだ可愛がりたいの」

 そ、か。誕生日やもんな。たまには言うこと聞いたっても悪ないよな。そうそう、ウチは親切でやっとるんや。今日は特別、特別やねん。

 唇が重なったら、細かいことは全部考えられんなった。

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